国内で接種されている麻疹ワクチンは

Q3-[4]:国内で接種されている麻疹ワクチンはどういうものですか?

 国内の麻疹ワクチンは、1966年から、不活化ワクチン(K:killed vaccineの略)と生ワクチン(L:live vaccineの略)の併用法(KL法)によって接種が開始されました。これは当時の生ワクチンの発熱、発疹出現率が高かったためですが、不活化ワクチンを接種した後に自然麻疹に罹患すると、四肢末端に強い発疹、肺炎と胸膜炎の合併、カタル症状(咳や鼻水、くしゃみなど)が乏しいなどを臨床的特徴とする異型麻疹の発生が問題となり、さらに、不活化ワクチンを先に接種することにより生ワクチンによる抗体獲得が見られない場合があり得ることなどから、KL法は中止となりました。
 1969年以降は高度弱毒生ワクチンの単独接種に切り替えられ、現在に至っています。予防接種法に基づく定期予防接種に導入されたのは、1978年10月からです。
 国内で市販されている麻疹ワクチンに含まれているワクチン株(ワクチンウイルス)は、武田薬品工業のSchwarz-FF8株、北里研究所のAIK-C株、阪大微生物病研究会の田辺株、千葉県血清研究所のTD97株の4種類ですが、千葉県血清研究所が2002年9月に閉鎖されて以降は、武田薬品、北里研究所、阪大微研の3社が麻疹ワクチンを製造しています。 これらのワクチン株をニワトリ胚培養細胞あるいはニワトリ胚初代培養細胞で培養して、ワクチンが製造されています。接種時には、ワクチンに添付されている溶解液(注射用水)0.7mlで溶解後、0.5ml(力価5,000TCID50/0.5ml以上)を皮下接種します。
 また、1989年から1993年4月までの間、麻疹ワクチン定期予防接種時に、麻疹風疹おたふくかぜ混合ワクチン(measles-mumps-rubella; MMRワクチン)を選択しても良いことになっていましたが、おたふくかぜワクチンに由来した無菌性髄膜炎の多発により、国内でのMMRワクチンの接種は中止となり、現在に至っています。
 2006年4月から、予防接種法に基づく定期予防接種として、麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)が使用されていますが、現在、国内では、武田薬品工業と阪大微生物病研究会が上記のワクチン株を使用して、製造を行っています。

Q3-[5]:麻疹ワクチンは誰に使用しますか?(定期、任意)

 2006年度以降2010年6月現在、予防接種法に基づく定期予防接種は、1歳児(第一期)および5歳以上7歳未満で小学校入学前1年間の者(第二期)それぞれ1回ずつ、2回接種を行うことになっています。加えて、2008年度から5年間の時限付きで、第三期として中学1年生に相当するもの、第四期として高校3年生に相当するものが対象となっています。使用するワクチンは原則として麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)です。
 2010年6月現在の予防接種スケジュール、および2001年以降の予防接種スケジュールについては、国立感染症研究所感染症情報センターHP(http://idsc.nih.go.jp/vaccine/dschedule.html、およびhttp://idsc.nih.go.jp/vaccine/dschedule02.html)に掲載しておりますので、ご参照ください。
 定期予防接種対象者以外で麻疹ワクチンの接種を希望する場合、0歳児以外は年齢に関係なく、任意接種として接種が可能です。 0歳児の場合、生後6カ月未満の乳児には接種を行いません。生後6カ月以上1歳未満で接種を希望する場合は、麻疹流行時の緊急避難的な場合のみとし、接種に当たっては、Q3-[1] をご参照ください。